BH15.15/TrialofDevelopmentOfValueOntology
提供:TogoWiki
値(定性値、定量値)記述のためのオントロジーを考えてみる(桝屋)
目次 |
概要
RDFガイドラインの「単位つき数値」を膨らませて、定量値、定性値の書き方まで、一般的に広くカバーするオントロジーを改めて考えてみて、このコミュニティ(TPP、RDFでデータを書きたい人たち)で共通的に使えるような方向性を考える。
ニーズ
- そもそもニーズをちゃんと理解できていないところがあるが・・・潜在的に大きいはず。
- 染色体の長さ、物理位置の記述(数値はゲノムバージョンに依存)
- 実験結果の記述等
- 「量」の記述全般
- 「使える」ガイドラインまでうまく落とし込むことがニーズ?
既存の仕事/研究
- 基本的に「性質」の記述の範疇に入ると思われる
- OBI: BFOに準拠。最近BFO2.0で値の記述に対応したかもしれない。
- OBI, BFO2がbioportalで見れない(2016.3.16)
- bfo:qualityの下に性質、定性値、bfo:informational content entityの下に測定値等があるように見える。
- OBI: BFOに準拠。最近BFO2.0で値の記述に対応したかもしれない。
- YAMATO(http://download.hozo.jp/onto_library/upperOnto.htm )
- 性質と値を分離(DOLCEと同じ)かつ、性質と値を含んだ「特性」を定義
- Mizoguchi 2010 (http://download.hozo.jp/onto_library/YAMATO101216.pdf ) にて、様々な性質関連概念をまとめてある
- SIO(https://code.google.com/archive/p/semanticscience/wikis/SIO.wiki)
- qualityの下位に定性値、numberの下位にmeasurement valueがある。
- RDFガイドライン:単位つき数値の書き方(http://wiki.lifesciencedb.jp/mw/RDFizingDatabaseGuideline#.E5.8D.98.E4.BD.8D.E3.81.AE.E3.81.A4.E3.81.84.E3.81.9F.E5.80.A4.E3.81.AE.E8.A8.98.E8.BF.B0.E6.96.B9.E6.B3.95 )
コンセプト(どんなオントロジーにしたいか)
- RDFガイドラインの数値記述の項を満たしながら、定性値の記述にも対応する。
- 『値』は数学的に性質を扱う科学に不可欠な基盤=び、尺度水準(https://www.google.com/search?client=safari&rls=en&q=%E5%B0%BA%E5%BA%A6%E6%B0%B4%E6%BA%96&ie=UTF-8&oe=UTF-8 )と捉えて、定量値/定性値を一般的に扱える。
- そのために性質のインスタンスと、値を分離して考える
- (BFO, SIOは定量値は分離されているように見えるが、定性値は分離されていない)
- 概念階層はこんな感じ(ラフ)
- 各概念についてのオントロジー的な説明
- GenericQuality: モノが持つ性質。生物で言えば「形質」。bfo:Quality、PATO:Qualityとほぼ同義。(なので、名前はQualityで良かったかも。Valueは入らないよという意味でこの名前)インスタンスは、「マウスAの持つ体長」Qualityのクラス階層は、<重さor長さ>、<体長 or 胴囲>等の区別を受け持つ。ただし、1匹のマウスが成長した場合、10cmも12cmも「マウスAの持つ体長」インスタンスであるため、値が変化したことが記述できない(Mizoguchi 2010)。
- QualityValue: 値、量。性質の「大きさ」的なものを示す概念。科学における性質記述に必須。具体的な値("10cm"など)はインスタンス。1mと100cmはsameAsと考えたい(文字列表現ではない)。SameAsの判定は、数と単位とで判定する。値がdependent entity(性質的なもの)なのか、情報モデル的なものなのかは個人的にはよくわからないが、マイナスとか虚数とか、現実世界にマッピングしにくい値も扱えるよう、「数学的モデル」と考えたほうがいいのかもしれない。(YAMATO, DOLCEではdependent entityとなっている)
- QuantitativeValue: 定量値:数と単位で構成される。Countなど、単位の無い定量値もある。
- Rational scale 四則演算が可能。普通の定量値
- Nominal scale 加減演算のみ意味がある。セルシウス度の温度など、特殊な定量値。
- QualitativeValue定性値:通常テキストで表現される。
- Ordinal scale value 順番のみで定量性が無い
- Nominal scale 順番さえない
- 上記の分類の他に、順序あり/なし、間隔が定量的/定性的、四則演算可能/加減のみ可能という分類もできる(こちらが本質的かもしれない)が、統計計算においては、NominalとOrdinalの扱いがほとんど同じらしいので上記分類とした。
- QuantitativeValue: 定量値:数と単位で構成される。Countなど、単位の無い定量値もある。
- Unit: 単位。根本的意味は「単位量」で値の一種と考えられる。
- Continuant:(性質を持っている)モノ。 (bfo:continuant, sio:object, yamato:continuant)
- SingletonEAV_styledData: 計測値などのデータとして例2のために作ったクラス。
- 概念間のリンクはこんな感じ
オントロジー試作
- https://filebin.riken.jp/public/qM2wQAPffwvA1M0BZUBTvF190F-SQY9bdSmE1Vl5SfCi (一時的)
- とりあえずオレオレのクラスとプロパティのrenge, domainで作ったもの
- 課題
- 概念の説明が必要
- 既存のプロパティを使ってクラス制約で書く?
- 課題
- とりあえずオレオレのクラスとプロパティのrenge, domainで作ったもの
例1
- 染色体の長さ(バージョン依存)をどのように記述するか
- 「真の染色体の長さ」は1つと考える。バージョン依存の位置が変わっても不変。(図の空白ノードB)
- その「真の染色体の長さ」に対して、Sequence version xxx 依存の値の体系:Mbp value depend on version xxx が存在すると考える。
- 問題点1:真実の記述になっている。と思う。計測データであることを明示するには、下の方がいいかもしれない。
- 問題点2: 数値と単位だけでは同等性の判断はできず、クラスの参照も必要。(特に問題とはならないかも)
例2
- 染色体の長さ(バージョン依存)の書き方
- 測定結果というInformational entity: Measurement result xxx of chromosome Aを記述する。下記の例は、Entity, Attribute, Value型の記述(桝屋プロジェクトでの標準の書き方)したもの
- EAV記述では、性質のインスタンスは記述してもあまり意味がないので、クラスへのリンクとしている(本来OWL2のPunning機能を使う)
- 測定結果にバージョンへの依存性をかけるので、値のレベルでのバージョン依存性を書く必要があまりない気がする。
このオントロジーがどう貢献しうるか
- より体系的/一般的な考え方は示している。
- バージョン依存的な書き方に一般的な指針を示せているのかどうか。
- とりあえずガイドラインで用は成している?
その他課題/問題点など
- 実際的な部分:
- 個々のUnitは本来インスタンスなのに、Unit Ontologyの最下層がクラス<=太田さんがUOに対してIssueを上げてくれました。
- UOにない単位が結構沢山ある。
- exterm:unitsはプロパティが決まっていないという意味なので、きちんと決めたほうがいい。
- 哲学的な部分
- セルシウス温度とケルビン温度、SameAsで結びたいが、両者の尺度は異なる。尺度を跨いだ単位変換ではSameAsしない等、何らかの制限が必要。
- 数学の勉強が必要。
- その他
- 順序尺度(Ordinal scale value )間の相互運用性を、ロール概念を駆使して記述可能(Masuya et. al. 2011: http://slidegur.com/doc/5749103/presentation )